【DCモータの角度制御】第1回+α:システム同定におけるエンコーダ分解能の影響
はじめに
第1回ではDCモータのシステム同定を行いモデルを作成しました。
しかし、第1回のシステム同定で残った課題としてエンコーダの分解能が精度にどの程度影響するのかというものがありました。ここではそれについて検証します。システム同定の詳しい方法については第1回を参照して下さい。
検証実験
入出力データの測定
とりあえず0.1~100HzのDCモータの周波数応答を以下の3つのサンプリング周波数で測定しました。使用している部品は第1回と同じなのでそちらを参照して下さい。
- 250Hz
- 500Hz(第1回と同じ)
- 1000Hz
各サンプリング周波数で測定した周波数応答を図1~3に示します。
サンプリング周波数が下がるほどカウントできる時間が増えるので同じエンコーダを使用したとしても出力は滑らかになっています。ただし、これはあくまでもインクリメンタル式エンコーダの速度分解能に関する話であり、角度分解能は今回使用しているエンコーダの場合、1回転12パルスでそれが変わることはないので注意して下さい。
伝達関数モデルの同定
入出力データを使用してシステム同定した結果を以下に示します。
- サンプリング周波数:250Hz
- サンプリング周波数:500Hz
- サンプリング周波数:1000Hz
応答の比較
得られた伝達関数を第1回の「Step 5:モデル妥当性の評価」で使用したパルス状の入出力データを使ってモデルの応答比較をしてみると図4~6のようになりました。分解能が高い入出力データを用いて同定したモデルほど適合率が上がっていることが分かります。
おわりに
今回の検証結果からエンコーダ分解能がシステム同定の精度に影響することが確認できました。応答の適合率でいうと2%程度の変化ですが、これが大きいのか小さいのかは正直判断できていないです。とりあえず結論は、システム同定をする時はなるべく分解能が高いエンコーダを使用したほうが良いということです。あたりまえか...。
第1回で求めたモデルよりも今回のサンプリング周波数250Hzで求めたモデルのほうが適合率が高いのでシミュレーションをやる場合はこっちを使った方が良いかもしれないですね。
シミュレーションについてはこちら↓↓↓